大傑作「太平洋の嵐」
  大戦を詳細シミュレーション
 大戦略と並んで日本のシミュレーションに画期的な足跡を残したのがGAMの「太平洋の嵐」だ。太平洋戦争を戦略、戦術両面からシミュレートしようというゲームで戦略面では、原油やボーキサイト、鉄鉱石、石炭などがそのまま原料として採掘され、それを輸送船を使って日本本土などの工場に運んで重油や航空燃料、鉄、アルミなどの製品とする。そのためには敵の原料供給地をいかに早く攻略し、さらに安全な輸送をするため計画的に護衛を付けた輸送艦隊を運営していかなければならない。ともかく制海権をまず握らないと生産は増えず、国力はじり貧となってしまう。鉄やアルミが生産されると、それをもとに艦船や飛行機を製造していく。レーダーなど技術開発にも気を配っていかなければならない。
 飛行機は1機単位で、ほぼすべての航空機が登場する。もちろん飛行機ごとに飛距離や稼働率が異なり、飛行士には4つの錬度があり、錬度の高い飛行士の一部は教官に回さないと飛行士が増えない。もちろん艦船はすべて実名で登場する。
 戦術的には潜水艦の攻撃、航空戦、艦隊戦と進む。航空戦は空中戦と爆撃とに別れ、戦果を挙げるには爆撃機をしっかり護衛しなければならなかった。
 

最初の「太平洋の嵐」はすべてキーボードでの入力で、しかも空母への着艦なども個別に指定しなければならなかったので面倒だったが、パワーアップキットが出され、マウスで入力でき、着艦も自動化され、長いキャンペーンもかなり楽にできるようになった。
提督の決断も登場
  「太平洋の嵐」以外にも、太平洋戦争全体をテーマにした国産ゲームが次々と現れた。光栄からは「提督の決断」が登場。これは連合艦隊司令長官として、大艦隊を指揮し戦略、戦術両面から戦っていく。会議を主催して戦略を決めるなどロールプレイング的な要素もあり、戦いは信長の決断と同じようにへっくす画面で行われた。
思考が弱かった「轟」 
 WOLF TEAMというソフトハウスからは「大東亜黙示録 轟(GOH)」が出た。画面は美しく、勝利も講和条約をいかに有利に結ぶかというもので、雰囲気はあったが、ただ残念ながらコンピューターの思考が決定的に弱く、太平洋の嵐のようなリアリティーは欠けていた。