全国初 事業改善命令

 2度の正面衝突を半年の間に起こした京福電鉄に対し中部運輸局は19日、鉄道事業法に基づく事業改善命令を出した。事業改善命令が出されたのは長い鉄道の歴史でも初めてで、それだけこれまでの京福の安全管理がなってなかったことを物語る。
 命令の内容はATSの緊急整備と、設備投資計画を明確にすることを求めている。検査、補修体制の整備、厳正な業務管理、さらには運転士の信号の指さし点呼など基本動作の徹底までもが命じられている。2ヶ月以内の報告を求めている。線路の幅が社内基準の誤差範囲を超えているなど、事故と隣り合わせでの運転が続いていたことも国の検査で明らかになった。
 京福は現在運行停止中だが、改善の方向が出されなければ、再開されることはなく、少なくともあと2ヶ月は運行停止の状態が続くことになった。

 廃線を打ち出している京福はATSの整備をする気はなく、県や地元自治体が第3セクターで運行するかどうかが迫られている中の国の改善命令は、自治体に2ヶ月という期限を切っての回答が迫られることになった。いわば京福存続への踏み絵を提示された形になっている。 
 全車両と駅にATSを整備すると約3億円、線路の整備にも数億円、さらに鉄道資産全体を購入すると巨額の経費がかかる。京福存続には自治体だけでなく、沿線の住民の強い意思表示が絶対条件となるだろう。さもなければ、このまま運転再開されることなく廃線という最悪の結果が待ち受けているかもしれない。
 
 事業改善命令に従わないと業務の停止や事業の許可取り消しもできるとなっている。

 なおこの命令を出したのは中部運輸局で京都市は管轄外なので、嵐山線などは命令の対象外と思われる。
    
   錆びた鉄路