2つの京福電鉄事故の主な経過
 2000/12/17
永平寺線の下り電車にブレーキ故障が発生、下り坂のため、越前本線との乗換駅の東古市駅にも止まらずに本線に入り、下り電車と正面衝突。運転士一人が死亡、乗客乗員ら25人がけがをした。
 12/24 
 福井県警は事故を起こした2車両を押収。永平寺線の電車のブレーキロッドが破断したためと断定した。
 2001/02/23
 事故発生から68日ぶりに永平寺線の運転を再開した。
 2001/06/24
 午後6時10分ごろ福井県勝山市の越前本線の単線区間の発坂-保田間で勝山行き下り急行電車と福井行き上り電車が正面衝突。24人が重軽傷を負った。半年間に2度の重大事故発生で国土交通省は福井県内の京福3線の全面運行停止を決めた。
 6/25
 県内全線で代行バス運転が始まるものの、ダイヤは大幅に遅れ、ラッシュ時には積み残しがでるなど大混乱した。
 6/25
 国土交通省中部運輸局と県警の合同捜査で上り電車の運転士が赤信号を見落として単線区間に入った可能性が高いことがわかった。
 6/27
 県警は京福電鉄福井本社を家宅捜索。中部運輸局は石田栄一社長に対し原因の究明と再発防止策を確立するよう指示し、「安全管理体制が極めて憂慮すべき状況」と警告書を手渡した。
 7/05
 栗田知事が来県した扇国土交通大臣に事故再発防止などを要望。大臣は再開は「事故原因究明後」とのべ、再開に時間がかかることを示唆した。
 7/16 国土交通省は京福事故をきっかけにATSが設置されていない中小私鉄が整備する際の補助率を大幅にあげることを決めた。
 7/19 国土交通省中部運輸局は鉄道事業法に基づく全国初の事業改善命令を京福電鉄に出した。ATSの緊急整備などを盛り込み、2ヶ月以内の改善報告を求めた。
 7/30 京福電鉄の石田栄一社長は東京の鉄道総合研究所に施設や車両に関する健全度診断を依頼したことを明らかにした。8月下旬に施設改善に必要な経費なども含めた報告を受けるという。
 8/1 鉄道総合研究所の健全度診断始まる。(3日まで)
 8/6 三国港駅の車両7両を福井口まで回送。事故以来初めて電車が動く。4重連で運転した映像がテレビに流れていた
 8/8 福井県警と勝山署が勝山市の事故現場で2両を臨時運転させて再現見分
 8/9 福井県警と松岡署が松岡町の永平寺線の事故現場で再現見分
 9/22 京福事故を踏まえて国土交通省は経営環境が厳しく老朽化した施設を抱えている中小私鉄と第3セクター50者に対し安全性を外部の専門家に依頼して総合的な点検をするよう指示することを決めた。点検費用と必要な補修費は国交省が5分の2を補助する。
 10/29 京福電鉄は2度の正面衝突事故を起こしたことを受けて石田栄一社長ら5人の社内処分を発表した。石田社長が減給30%3ヶ月、小島幸雄副社長が取締役降格、松井良介福井鉄道部長が課長職に降格し関連会社へ出向など。
 11/20 福井県警と勝山署は2001年6月の京福電鉄の正面衝突事故で上り電車を運転していた22歳の運転士を業務上過失致傷と業務上過失往来危険の疑いで逮捕した。さらに京福本社の管理責任を視野に入れて京都市中京区の京福電鉄京都本社や福井市の福井本社と運転士の自宅の3ヶ所で家宅捜索を行った。
 警察の調べに対し運転士は「ミスを起こしたことは間違いない」と供述しているという。京福についてはわずか2ヶ月の見習い期間で乗務させたことなど社員教育などの安全管理について調べていく方針。 
 11/21 福井県警は事故を起こした運転士を福井地検に送検した。
 【2002年】
 5/07 福井地検は、上り普通電車の23歳の元元運転士を業務上過失傷害と業務上過失往来危険罪で在宅起訴した。県警が送検して
  7/04 、業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の罪に問われた福同電鉄運転士、下川床誠被告(23)の初公判が福井地裁で開かれた。罪状認否で同被告は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。 起訴状によると、同被告は昨年六月二十四日午後六時八分ごろ、越前本線の勝山発福井行きの上り普通列車を運転。勝山市の発坂駅で下り急行列車の到着を待って出発するはずだったが、考え事をしていたことから信号機の確認を忘れ早発。同六時九分ごろ、同市鹿谷町保田で下り急行列車と正面衝突した。

 8/20 業務上過失傷害と業務上過失往来妨害の罪に問われた元同電鉄運転士への論告求刑公判が、福井地裁(松永真明裁判長)で開かれた。検察側は「基本的注意義務を怠り、重大な事故を引き起こした責任は重い」として禁固2年6月を求刑した。
 10/22 衝突事故を起こした元運転士への判決公判が福井地裁であり、禁固2年6月 執行猶予5年の刑が言い渡された。
 福井県警はこの事故について石田社長ら京福電鉄幹部を書類送検する方針を固めているという。
 10/23 京福電鉄の石田社長が11月26日付けで退任することが決まった。
 12/12  二度の正面衝突事故で福井県警は業務上過失致死傷などの疑いで京福電鉄の石田前社長ら5人を書類送検した。 列車事故で鉄道会社の社長が書類送検されるのは私鉄はでは初めてという。
 過去にもブレーキ故障や信号の見落としがあったことを知りながら必要な安全対策を怠ってきた事への責任を問うた。
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