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国鉄の駅舎を再生 海や漁港が目の前三国港駅

終着駅・三国港 えちぜん鉄道

三国港駅から発車前のえちぜん鉄道福井行き電車

三国港駅はえちぜん鉄道の三国芦原線の終着駅。三国芦原線は福井市のJR福井駅に隣接した福井駅から坂井市三国町の三国港駅まで25・2キロの路線。福井から市街地を通り、大きな川を渡ってからは水田地帯を走り坂井市の三国港の終着駅に到着する。

国鉄時代の雰囲気が残るえちぜん鉄道三国港駅

福井県の一級河川九頭竜川の町、三国は三国湊と呼ばれ、古くから物流と人の交流の拠点だった。江戸時代は北前船の集積場として賑わった。

戦前までは三国港駅には国鉄が走っていた。北陸線の金津駅(現芦原温泉駅)から枝線として芦原温泉から三国を通り三国港までの三国芦原線が運行された。それが第2次大戦で不要不急とされた路線が全国的に廃止されたり統合されたりしてした。三国芦原線は芦原-三国間が廃止対象となり1944年に運転中止。金津-芦原間も含め全線で線路がまくりあげられた。

三国には京福電鉄も福井駅から省線三国駅を経て観光地の東尋坊口駅まで走っていて戦前は三国港駅の手前で国鉄の線路と立体交差していた。京福の三国―東尋坊口間も1943年廃止された。国鉄の三国-三国港間は京福電鉄に譲渡され、最終的に京福は福井から三国港までの路線となった。2003年から京福を引き継いだえちぜん鉄道の三国港駅だ。

レトロな雰囲気の駅舎内の待合室

国鉄の終着駅として三国港駅ができたのは1913年。国鉄の駅舎を引き継いだ駅舎は2010年に改修工事が行われた。柱や梁、瓦をそのまま使い大正の雰囲気を再現した。単線の駅だがホームは長く、駅舎の横には電車の歴史などを展示する建物もある。

駅から100メートルほどの距離に現在サンセットビーチと呼ばれている遠浅の三国海水浴場がある。近く夏は海水浴客でにぎわった。道路を挟んだ向かい側が漁連の市場で、早朝は福井や芦原温泉に向かう「ぼてさん」と呼ばれた行商の女の人たちが乗っていた。現在は朝夕の通勤通学客に混じってわずかに観光客が利用する程度だ。毎年夏の花火大会には満員となり臨時電車もでる。

電車は駅を出発すると石とレンガを積んだ小さな眼鏡橋をくぐる。橋の上は道路。1913年の開通時につくられ、2004年、国の登録文化財に指定された。駅の前は広い駐車場になっていて自由に駐車できる。駐車場の横に巨大な越前がに壁に付けた料理店が「蟹の坊」がある。リアルな越前がには海岸道路を通るドライバーの目印にもなっている。

三国港駅から見える眼鏡橋

眼鏡橋をくぐって駅に入ってくるえち鉄電車

三国港から福井駅までは50分。早朝の5時8分から22時8分までほぼ30分間隔で出発する。福井からの始発電車が到着するのは7時5分、その後は折り返し運転となり最終が到着するのは23時59分。そのまま駅で翌朝まで待機する。

駐車場の横には越前がにが張り付いている料理店

三国港駅近くの九頭竜川河口から見える夕日